客観的に自分を見る方法とは?客観視のメリット・デメリットも解説
- 自分のことがよくわからずに悩んでいる
- 客観的に自分を見ることにデメリットはある?
- 客観的に自分を見る方法が知りたい!
仕事をしていて「あのとき、もっと冷静になれていたら」と後悔した経験は、誰もが一度はあるものです。
人間関係においても、売り言葉に買い言葉で、「どうしてあんなことをいってしまったのか」と後悔してしまうこともあるでしょう。
それでは、ここぞというときに感情に流されず、落ち着いて判断ができるようになるには、どうしたらいいのでしょうか。
本記事では、自分視点のみの発言や行動を変えたい人に向けて、客観的に自分を見る方法を紹介しています。
これまでとは違う視点で自分を見つめると、自分のことがよくわからないといった悩みも解決できるでしょう。
客観的に自分を見るとは?
客観的に自分を見るとは、自分のなかに第三者視点を持ち、そこから自分を捉えることです。
客観的という言葉のニュアンスや感覚がよくわからない場合は、対義語である主観的と合わせて考えてみるとよいでしょう。
たとえば、「この芸人は面白い」というのは主観的な捉え方です。世の中には「その芸人を面白いとは思わない」人もいますよね。
それでは「この芸人は数々の賞を受賞しており、劇場のチケットはいつも完売しているから、多くの人が面白いと感じているであろう」といわれたらどうでしょうか。
自分は面白いとは思っていないけれど、「この芸人は面白い」という意見について納得できますよね。
これが、客観的な捉え方になります。
個人の感情が主体の考えである主観的に対して、客観的は感情に支配されず、データなどから冷静に分析された意見です。
そのため、客観的に自分を見るためには、他人から自分がどう見えているかを考える必要があります。
客観的に自分を見たときに、主観的に見た自分との間にギャップがあれば、それは自分を過大評価または過小評価しすぎているとわかりますよ。
周囲とのコミュニケーションが上手くできない、頑張っているのに報われないなど、生きづらさを感じている場合は、客観的に自分を見ることで原因を探ることができます。
「客観視」と「メタ認知能力」の違いは?
客観視は、言い換えると、一般的な総意に近いものになります。
先ほどの例のように、客観視は蓄積されたデータから導き出されているので、自分以外の人が納得しやすい意見といえるでしょう。
一方で、メタ認知能力とは、自分の考えや行動に対して意識的にコントロールするものになります。
芸人の例であれば、「この芸人は面白い」と発言すると、周りの人は「それはあなただけの意見だよね」と思うだろうな、と認知を持つのがメタ認知的知能です。
そこからさらに、認知から得た知識を現状の対策などに講じることを、メタ認知的技能といいます。
メタ認知的技能はメタ認知的知能の応用ともいえ、メタ認知的知能によって把握した認知を、悪い方向へと向かわせないように対処するスキルであり、これをメタ認知能力と呼んでいます。
芸人の例を使って、わかりやすく表にしてみます。
主観的 | この芸人は面白い |
---|---|
メタ認知的知能 | この芸人は面白いというと、周りは「それはあなたの意見です」と思うだろう |
メタ認知的技能 | この芸人は面白いというと、周りは「それはあなたの意見です」と思うだろうから、いわないでおこう |
客観的 | 受賞数が多く、公演はいつも満員だから、この芸人は面白いと思っている人が多い |
客観的に自分を見る場合は自分ではない第三者視点ですが、メタ認知能力は自分の隣にもう一人自分がいて、自分を客観視しているイメージです。
自分を客観視する3つのメリット
自分はこう思うという意見を持ち、発言することが必ずしも悪いわけではありません。
しかし、ビジネスの世界では、自分を客観視できる人であるかどうかは、重視される部分です。
その理由は、以下の自分を客観視する3つのメリットが関係しています。
それぞれを詳しく見てみましょう。
メリット①問題を解決する力が向上する
自分を客観視できると、感情や利害を抜いて物事の本質を見極められるので、論理的な考えができて解決に向けた最適解が導きやすくなります。
また、情報を分析してどうしてミスが起きたのかわかれば、同じミスが起こるのを防げるので、時間や労力の無駄を減らせますよね。
問題が発生したときに、解決に向けて足枷になりやすいのが個人的な感情です。
主観的にしか問題に取り組めないと、焦って周りが見えなくなるだけではなく、感情論になるので冷静な判断ができなくなります。
メリット②視野が広くなる
客観的に自分を見ることができれば、固定観念が払拭され、新しい視点や価値の創造ができるようになります。
たとえば、「問題は自分ひとりで解決してこそ社会人として一人前ある」という凝り固まった考えを持った人が、「周りに協力してもらう」という視点を取り入れられたらどうでしょうか。
少なくともこの時点で、自分ひとりで考える方法以外に、周囲に協力してもらう方法も得られていることになりますよね。
さらに、複数の視点を取り入れてまとめることで、良い面は膨らませて悪い面は改善策を講じてみるなど、新たな方法も手に入れられます。
少ない選択肢から解決する方法を探すよりも、たくさんの選択肢からのほうが、より確実な方法が見つけられるでしょう。
自分を主観的にしか見られない人は、これまでの経験や勘に頼った判断や行動をとりやすくなるので、根本的な問題解決には至らず、また同じミスが起こってしまいます。
視点を変えるヒントは、こちらの記事を参考にしてください。
メリット③感情をコントロールできる
ミスをしたときに上司から感情的に怒られてしまうと、状況を冷静に判断できなくなり、原因の解明まで時間がかかってしまいます。
また、一方的に怒鳴られることに不満を感じ、素直な気持ちで上司の話を聞けなくなってしまいますよね。
しかし、上司が落ち着いた状態で、どうしてミスをしたのかを聞いてくれたら、自分も経緯などを細かくしっかりと伝えられます。
これは、自分が上司側であっても同じで、部下を感情的に怒っても問題解決にはなりません。
お互いに客観的に自分を見ることができれば、無駄に感情を消費することなく、冷静に問題に向き合えるので解決策が打ち出しやすくなるでしょう。
ミスをして自己評価や自己肯定感が低くなった場合にも、ミスをした原因や対策法を考えられるので、必要以上にミスをした自分に捉われることがなくなります。
考えすぎで悩んでいる人は、ぜひこちらの記事も参考にしてください。
自分を客観視する3つのデメリット
客観的に自分を見るようになると、メリットだけではなくデメリットもあります。
デメリットも把握した上で、どう自分の人生に生かしていくか考える必要があるでしょう。
以下の自分を客観視する3つのデメリットを、それぞれを詳しく解説します。
デメリット①考えが偏る可能性がある
人は感情の生き物といわれています。
それが「正しい」方法だと理解ができても、時として気持ちがついていかず、嫌だと思ってしまうことは往々にしてありますよね。
また、感情を0%にすることはできないので、100%客観視するのは不可能に近いです。
どれだけ自分が「客観視できている」と思っていても、そこには主観が入り混じってしまうものです。
そこに気づかずにいると、本来はとても主観的なのに、本人だけが客観的な意見を述べていると思ってしまう可能性があるでしょう。
考えが偏ってしまっている人は、「考え方が甘いよ」と周りから言われがちです。
考え方が甘いと言われてしまい不安な人は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
デメリット②自信がなくなる可能性がある
自分を客観視できないと、自分はだめなんだと落ち込んだり、自己肯定感が下がりやすくなります。
他人の意見を取り込みすぎてしまい、自分の意見を見失ってしまうことも、自分に自信がなくなる原因です。
また、主観をないがしろにすると、本音の部分では不満が溜まってしまうこともあるでしょう。
客観的に自分を見るのは、自分の意見を押さえたり、無理して周囲に合わせることではありません。
自分も相手も、お互いが納得できる答えを見つけるために行うものであるという前提を忘れないようにしましょう。
本来の自分がわからなくなってしまった人は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
デメリット③感情的なやり取りができない
仕事や人間関係において、客観的に冷静な視点を持つことは大事です。
しかし客観的に自分を見ることにこだわりすぎてしまうと、周りからは感情がない人だと思われてしまいます。
「面白味に欠ける判断しかしない」「ノリが悪く付き合いにくい」など、結果的に人間関係が薄くなり、仕事にもネガティブな影響を与えてしまうリスクがあるでしょう。
人が相手に信頼感を持つとき、そこに論理的な見解や冷静な判断が介入しないケースもありますよね。
たとえば気持ちが相手に伝わり、「いつも良くしてもらってるから」「契約終了したのに頻繫に顔を出してくれるから」と、上手く仕事が回ることがあります。
自分を客観視することが、すべての問題や悩みを解決するわけではないという点を、心に留めておくのが必要です。
客観的視点が身に付く!自分を客観視する3つの方法
客観的に自分を見る重要性は理解できても、実際にどのようにすれば実行できるのか、よくわからない人は多いですよね。
自分を客観視するには、次の3つの方法があるので、それぞれを詳しく見てみましょう。
方法①自分を観察する
客観的に自分を見るには、その言葉通りに、客観的に見てみることが簡単な方法です。
具体的には、ボイスレコーダーで自分の発言を聞き返してみる、行動をビデオ録画して見返してみるなどです。
コミュニケーションツールで送信したメッセージを、読み返してみるのもよいでしょう。
そして、自分の発言や行動に対して相手はどう思ったか、どのように伝わったかを考えてみてください。
最後に「相手の意見を汲み取っておらず、自分本位の発言をしている」「もっとわかりやすい伝え方があるように思える」など、発言や行動の分析をしましょう。
自分の思考や行動のパターンを探るために、日記を書くのもよい方法です。
日記は主観で書くものなので、日記を読み返すことで客観的に自分を見ることができますよ。
その際、「楽しかった」「つまらなかった」といった気分がわかる一言を添えておくのがおすすめです。
振り返ったときに日記の内容と合わせて、自分がどのようなときに気分が上がりやすくなるのか(下がりやすくなるのか)が掴めるようになります。
方法②他人から見た自分を知る
信頼できる家族や友人に、「自分はどんな人?」と尋ねてみるのもよい方法です。
家族や友人は客観的視点のひとつのため、自分で自分を客観的に見る場合と近しい状況を作り出せます。
親しい人に聞くのが難しい場合は、コーチやメンターに依頼するのもよいでしょう。
他人から見えている自分について尋ねるときは、相手の意見を否定したりせず、冷静に受け止めるように心がけてくださいね。
自分が思っている自分(性格)と、相手から見えている自分(性格)のギャップがあるほど、自分を客観的に見られていない(主観的な捉え方をしている)といえます。
ギャップを解消するには、自分のアイデンティティを確立することが大切です。
アイデンティティの確立について、こちらの記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
方法③自分と対話する
客観的に自分を見るには、自分と第三者視点の2つが必要になりますよね。
そこでおすすめなのが、セルフインタビューです。
セルフインタビューとは、スポーツ中継で目にするヒーローインタビューを、自分だけで行うものと考えるとよいでしょう。
野球の場合であれば、このような質疑応答をしている場面をよくみかけますよね。
- インタビュアー「今日の試合を振り返ってどうですか?」
- 選手「決めるべきところで決められたのがよかったです」
- インタビュアー「バッターボックスに立つ前に、ホームランは意識していましたか?」
- 選手「狙い球を絞って打てば、打線は伸びると確信していました」
これを応用して、たとえば「今はどんな気持ち?」と自分に質問して、「すっきりしない」と自分で答えたとしましょう。
セルフインタビューでは、質問を重ね掘り下げていくことが肝心です。
- インタビュアーの自分「すっきりしないのはどうして?」
- 自分の答え「毎日つまらないから」
- インタビュアーの自分「このままだとどうなると思う?」
- 自分の答え「将来は楽しくなさそう」
- インタビュアーの自分「理想の将来はある?」
- 自分の答え「資格を生かせる仕事に就きたい」
このように掘り下げていくと、自分が今すっきりとしないのは毎日をなんとなくこなしているからで、新しい学びを経て転職することが目指す先にあるとわかりますよね。
他愛のないセルフインタビューから自分でも気づかない深層心理に辿り着くこともあるのです。
自分を客観視するときのポイントとは?
客観的に自分を見ることに固執しすぎず、主観も否定しないことが大切です。
客観的に自分を見れるようになると、自分のなかに主観と客観の両方の意見を持つことができますよね。
それが、自分を客観視する上で重要なことだからです。
たとえば、会議で社員同士が感情論をぶつけ合っているときは、あなたの客観的な意見が場を収めるために必要になります。
しかし反対に、そつのない意見を取りまとめてあっさりと会議が終わりそうなときは、あなたの主観的な意見が新しいアイデアを生むきっかけになるかもしれません。
主観的・客観的の両方の意見を、バランスよく使い分けられるようになることを目指しましょう。
まとめ
この記事では、客観的に自分を見る方法や、客観視のメリット・デメリット、自分を客観視する方法について解説しました。
最後に、これまでの内容を簡単にまとめます。
- 客観的に自分を見るとは、第三者視点で自分を見ること
- 自分を客観視できると問題解決力が上がり、視野が広くなって、感情をコントロールできるようになる
- 客観的に自分を見るようになると、考えの偏りが生じる、自信をなくす、感情的なやりとりができなくなるなどのデメリットもある
- 客観的に自分を見るには、自分を観察する、他人から自分を知る、セルフインタビューの方法が効果的
- 主観と客観視の両方を自分のなかに持つことが大切
客観的に自分を見ることができると、会社や社会において信頼されやすくなり、評価が上がりますが、自分の主観による発言や行動が必ず「悪」ということでもありません。
大切なのは、主観的・客観的の両方を取り込み、多面的な視点を持つことです。
主観的な自分を否定するのではなく、まずはその自分を受け入れ、客観的に自分を見るための方法を試してみましょう。