「固定観念」と「固定概念」の意味とは?固定観念を捨てる方法と成功した事例
- 固定観念を捨てるってどういうこと?
- 固定観念を捨てるには難しいテクニックがいるの?
- 固定概念を捨てて、もっと柔軟な考え方がしたい!
考え方が凝り固まってしまい、なかなか新しいアイディアが生まれてこなくて悩んだことがある人は多いのではないでしょうか。
こうなった時には考えれば考えるほど行き詰まり、なかなか前に進めないものです。
実はこのような場合、自分の中にある固定観念が新しい発想を生み出すきっかけの邪魔をしていることがあります。
一体なぜ固定観念は新しい発想の邪魔になっているのでしょうか。
この記事では固定観念を捨てる必要性と、固定観念を捨てるコツについて詳しく解説しています。
この記事を参考にすると、新しい考えが浮かびやすくなりますよ。
固定概念=固定観念?「固定概念」と「固定観念」の意味
「固定概念」や「固定観念」どちらもよく耳にしますが、実は「固定概念」という言葉は辞書に掲載されていません。
「固定観念」が本来の正しい日本語であって、多くの人が「固定観念」のことを「固定概念」と誤用し使用しているのです。
では、「固定観念」とはどういう意味なのでしょうか。
辞書には「ある物事に対する考えや価値観、イメージなどが凝り固まっていること」と書かれていました。
たとえば「公務員なら安定」「30歳までに結婚」などは、固定観念と言えるでしょう。
どんな人もこれまでの人生経験の中で、自然とイメージや価値観が自分の頭の中に染みついた「固定観念」があり、何かについて考える際に少なからず影響しています。
固定観念の他にも、無意識の内に持っている価値観である「潜在意識」も思考に影響しますよ。
こちらの記事では潜在意識について詳しく解説しているので、あわせてお読みいただくと参考になります。
固定観念を捨てる重要性とは?
新しいアイディアが浮かばず悩んでいる時など、固定観念が邪魔していることがあります。
「こうでなければならない」という思い込みが、発想の可能性を狭めているからです。
たとえば「ボールペンは消えてはいけない文字を書くためのもの」という固定観念を捨てた商品、パイロットコーポレーションから発売されているフリクションシリーズは、大人気商品となりました。
ボールペンは消えないという固定観念を持ち続けていたら、このアイディアは生まれなかったでしょう。
このように、固定観念を捨てることは新しいアイディアを生み出すきっかけになります。
【固定観念を捨てる方法】自由な発想を促す4つの思考法
これまでの人生経験において染みついたものを無くすことは簡単ではありませんよね。
そこで、固定観念を捨てる方法として、自分の思考をうまく変えていく4つの方法を紹介します。
新しいアイディアが生み出せず悩んでいる時や柔軟な考え方がしたいと感じている人は、ぜひ試してみてください。
思考法①ターンオーバー発想法(逆説定法)
ターンオーバー発想法は、自分が持っている考え方をひっくり返してみる方法です。
たとえば料理をする時に、食材を切る物として当たり前に包丁を使用しますよね。
では、その包丁が使用できないという状況を想像してみてください。
食材を切るためにはさみを使用したり、スプーンやフォークで細かくしてみたりと、想像してみると包丁の代用品を見つけられますね。
その結果「キャベツの千切りはスライサーですると便利だ」「こんにゃくは手でちぎった方が味がしみやすい」などの発見ができるのです。
普段当たり前のようにあるものをないものとして考えてみたり、イメージと真逆のものを使用してみたりすると、新しいアイディアや価値観が生まれるきっかけになります。
発想の転換する方法について、詳しく知りたい方はこちらの記事もおすすめです。
思考法②ゴードン法
ゴードン法とは、複数人からより斬新なアイディアを募りたい時に効果的な方法です。
たとえば調理器具の開発をしたい時「調理器具の開発」をテーマに話し合うと、恐らく多くの人が自分のイメージにある調理器具をイメージしながら考えていくでしょう。
ですがこれでは調理器具に対する固定観念が邪魔をして、これまである調理器具と変わりがない商品しか生まれません。
ゴードン法ではメインテーマを敢えて伏せ、遠回しにテーマにつながるようなお題を提示して意見を募ります。
今回の場合であれば「料理する上で苦手なこと」「包丁がなかったらどうする?」などと、調理器具の開発であることを伏せたままで意見を出し合ってみてください。
すると、「手が汚れるのが嫌」「みじん切りが面倒」「はさみで魚がさばける」などの意見が出てきます。
このような意見から「手が汚れるのが嫌な人のためにみじん切りが簡単にできる商品を開発できないか」「魚を捌く専用のはさみがあれば便利」など、新しい商品開発のヒントが見えてきますよ。
何人かで討論をする時に敢えて間接的なテーマを元に話を進めることで、斬新な発想を引き出したり、発想のヒントを見つけられたりするのがゴードン法です。
思考法③シックス・ハット法
シックス・ハット法とは、6つの帽子を順番に被りながら意見を出し合う方法です。
6つの帽子には【客観】【直観】【否定】【肯定】【革新】【俯瞰】という違う視点が割り振られています。
帽子を被った人は、その割り振られた視点で意見を出さなければいけません。
たとえばスナック菓子の新しいフレーバーの試食会で【否定】の帽子を被った人は、好みの味だとしても「小さくて味が伝わりにくい」「手が汚れる」など否定的な視点で意見します。
一通り意見を出したら、順番に帽子を回し別の視点で意見を言います。
このように少ない人数でも意見を多く集められるため、限られた人数の中でよりよい物を作り上げていく時に便利な方法です。
固定観念の違う人からあらゆる意見が出るため問題点や改善点が見えやすく、物事をブラッシュアップするときにおすすめですよ。
思考法④ランダム刺激発想法
ランダム刺激法は、本来なら結びつくことのない単語やテーマを無理やり関連付けることで新しいアイディアを生み出す方法です。
やり方は簡単で、辞書をパラパラとめくって出てきた単語をピックアップするなど、無作為に選んだ単語をいくつか上げて意見を出し合います。
たとえば「犬」「りんご」「雨」や「めがね」「お寺」「馬」など、一見すると関連のない言葉同士を組み合わせるのがポイントですよ。
「犬」「りんご」「雨」であれば「犬も入店可能なアップルパイのお店には雨の日限定で割引がある」「雨の中散歩している犬のレインコートがりんご柄でかわいい」など無理やりくっつけて発想してみると面白いですよね。
考えたいテーマに沿った単語を一つ忍ばせた上で、関連のない単語を提示し自由に意見を募ると、斬新なアイディアが生まれる可能性が高まりますよ。
斬新な発想を求めている人は、ぜひ試してみてください。
固定観念を捨てるためのコツ
固定観念を捨てるコツは、決めつけをやめることです。
常に「自分の意見は正しい」と考えてしまったり、「転職するなら正社員のほうがいい」のような世間の価値観だけにとらわれてしまったりすると、選択肢が広がりません。
どうしても思考が凝り固まってしまうときは、環境を変えて、新たな刺激や発見を求めるのがおすすめです。
自分とは違う環境に身を置いている人と交流したり、違う環境に飛び込んでみたり、自分の価値観を自然と広げられる経験を積んでみてください。
物事には表があれば裏がある、メリットがあればデメリットもあります。
固定観念を捨てたいなら、「こういった側面もあるのではないか?」「そもそも問題の本質はどこにあるのだろう?」など、物事の両面や奥にも目を向けましょう。
固定観念にとらわれず成功した事例3選
ここでは固定観念にとらわれずに成功した事例を3つ紹介します。
成功事例を見ると固定観念を捨てるとはどういうことなのかが分かります。
ぜひ成功事例を参考にして、今できる行動を見つけてみてください。
事例①旭山動物園「行動展示」
北海道の旭川市にある旭山動物園は、「動物園は動物を来園した人が見るもの」という考えから一旦離れ、「動物が暮らしやすい動物園」をモットーに人気を博している動物園です。
一般的に動物園とは、人が動物の生態や普段見られない動物を間近で見るためにあるものという考えがありますよね。
ですが旭山動物園ではその考え(固定観念)を捨て、動物たちが暮らしやすい環境を整えることに専念しました。
すると生き生きと暮らす動物たちの姿が話題となり、それまで減少の一途だった来園者が10倍以上となり全国でも有数の動物園となっています。
事例②永谷園「おとなのふりかけ」
ふりかけといえば、子どもが喜ぶものというイメージがありませんか。
そのイメージを払拭するべく開発されたのが永谷園の「おとなのふりかけ」です。
少子高齢化が進む中で子どもが食べる物というイメージが定着し続けると、売上の減少は必至でした。
そこで考えたのが「これまでのように子どもだけではなく、大人も満足できるふりかけを作る」ということです。
食材にこだわったり、高級感のあるパッケージにしたりと新しい発想で開発を進め、結果人気を得たのです。
このように固定観念に引きずられていると、現状を打破するきっかけを失ってしまいます。
今までとは違う視点から物事を見ると、新しい世界が広がっていくでしょう。
事例③鮨 銀座おのでら「登龍門」
東京にある「銀座おのでら」はミシュランガイドで星を獲得する一流の鮨店です。
一般的にカウンターの鮨屋と言えば、認められた職人だけが握ることが許される高級店ですよね。
これまでは職人を育てる上で「自分の目で見て先輩から学ぶ」という昔ながらの考え方がありました。
確かに目で見て学ぶことはたくさんありますが、それと同じように大切なことは経験です。
ですが職人が一貫一貫丁寧に握るため、お客様の前で腕を振舞える職人はごくわずかです。
そうなれば若い職人はお客様の前で握る経験は後回しになってしまいますね。
これではなり手となる世代の人口が減っている世の中で、職人は育っていきません。
その状況を打破するために開店したのが銀座おのでら「登龍門」です。
登龍門では若い職人さんたちが日々経験を積むために鮨を握っている分、お客様に安く提供しています。
敷居が高くこれまではおのでらに入れなかったお客様にも喜ばれ、さらには職人も技を磨くことができる鮨店として相互に嬉しい鮨店となっていますよ。
まとめ
この記事では固定観念について詳しく解説してきました。
最後に固定観念を捨てる方法について簡単にまとめます。
- 固定観念を捨てるとは物事を新たな視点で見ること
- 固定観念を捨てることは新しい物事を生み出すきっかけになる
- 自分の思い描くものとは逆のことをイメージし考えてみると新しい発見がある
- あらゆる視点からの意見を募ると新しい価値観を得られる
- 固定観念を捨てるだけでなく、他の人の価値観や発想を受け入れる余裕を持つ
新しい物で溢れている世の中でより注目されるアイディアや商品を打ち出すためには、自分の固定観念は邪魔になることがあります。
ですが簡単には固定観念は捨てられません。
この記事にあるように固定観念を捨てるコツをつかめれば、新しいアイディアを生み出すきっかけを得られます。
悩みに悩んで抜け出せなくなる前にぜひお試しください。